メンバー紹介

鵜澤加那子博士 - 創設者

鵜澤加那子代表は、アイヌ研究者、アイヌ権利活動家、アーティスト。 日本語、英語、ノルウェー語をしゃべり、6カ国で生活した経験を持つマルチリンガルで多面的な文化研究者です。幼少期と青年期の多くを北海道二風谷のアイヌのコミュニティ、そして東京で過ごしました。アイヌと日本の両方の文化の中で育った彼女は、「アイヌの人々や文化は、日本の人々や文化と同じように、私の日常生活の一部だ」と述べています。 彼女は、自分たちアイヌの人々を、最も親切で心温かく、豊かな文化を持ち、多くのインスピレーションを与えてくれる人々だと語っています。彼女は東京のレラの会のメンバーでもあり、そこで長老たちからアイヌの歌や踊りを学び、文化的なパフォーマーとして、またアイヌコミュニティの国際的なアイヌ権利活動家として活躍しています。 

青年期には、アイヌに対する否定的な表象や差別に遭遇し、世間一般とアイヌの人々の見解の間に著しい違いがあることを知りました。 彼女は、21世紀にアイヌであることの意味について考えるようになりました。  それをきっかけに、アイヌの現代的な生活を表現する方法を模索するようになりました。

彼女は2007年、トロムソにあるノルウェー北極大学(UiT)で先住民族学の修士号、2020年、同大学で博士号を取得しました。国際労働機関(スイス・ジュネーブ)の「原住民及び種族民に関するILO政策推進プロジェクト(PRO 169)」でインターンシップをした経験もあり、現在は、北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院研究員をしながら、先住民族伝統知識の多面的な表現に関する共同研究やアイヌのパフォーミング・アートに貢献しています。また、ArCSII(Arctic Challenge for Sustainability)にも研究者協力者として参加しています。 AlterNative: An International Journal of Indigenous Peoplesの編集委員としても活動している。

SABRA HARRIS - 寄稿者

セブラ・ハリスは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の博士課程に在籍しています。人類学者であり民族誌学者でもある彼女は、東アジア文化研究プログラムに所属し、先住民族性と現代のアイヌのアイデンティティについて研究しています。2016年にオレゴン大学で民俗学の修士号を取得し、アニメの音楽ビデオにおけるデジタルストーリーテリングと編集について論文を書きました。  

彼女が初めてアイヌに出会ったのは、テネシー州スワニーのサウス大学でアジア研究を専攻していた学部時代でした。日本の均一性の虚像について研究し始めた頃、オキ・ダブ・アイヌ・バンドに出会い、現代日本だけでなく、現代の先住民族のアイデンティティに関しても認識を鋭く問われました。AinuTodayのプラットフォームは、先住民族を過去の遺物として追いやる固定観念に疑問を投げかけるという点で重要です。AinuTodayは、アイヌ文化が遺物ではなく、博物館や歴史の中だけに存在するのではないことを示す資料を集め、整理しています。アイヌの人々は、革新的な方法で自分たちのアイデンティティを謳歌し、現代に影響を与え続けています。

セブラが鵜澤代表と初めて連絡を取ったのは サブラのUCSBでの恩師であり、鵜澤代表の友人・同僚でもあるann-elise lewallen氏を通じてでした。2021年にブリティッシュ・コロンビア大学の日本研究センターが 主催したアイヌのレジリエンスに関する鵜澤代表の講演会に参加したことがきっかけで、二人はより話し合うようになり、親しくなりました。  

SCOTT HARRISON博士 - 寄稿者

スコット・ハリソン(歴史学博士)は、カナダとアジアの関係に焦点を当てた非営利団体であるカナダ・アジア太平洋財団のアジア担当シニア・プログラム・マネージャーを務めています。研究テーマは、アジア太平洋地域を中心としたグローバルな先住民族性と先住民族主義、カナダとアジアのビジネス・政策・戦略、パラディプロマシー、カナダ人のアジア関連能力の構築、日本の歴史・外交・政治、アジア冷戦史など。現在は、先住民族と冷戦に関する書籍プロジェクトおよび1970年代から1980年代にかけてのアイヌの中国訪問団に関連した2つの学会誌向け共著論文の執筆を(ゆっくり)進めています。出版物としては、「カナダの諸州とアジアにおける外交政策」 『International Journal』 (C.L.Labrecqueと共著)(2018年)、「冷戦、サンフランシスコ体制と先住民族」 『サンフランシスコ体制とその遺産』(2015年)、「オーランド諸島合意の頃の日本の先住民族アイヌ」 『北方領土、アジア太平洋地域紛争とオーランド諸島の経験』 (2009年)などがあります。 また、APFカナダのために十数本の政策記事を書いており、その多くはカナダとアジア太平洋間の先住民族の関わり合いとビジネスについて考察しています。

鵜澤加那子代表の AinuToday プラットフォームは、アイヌが主導する重要かつタイムリーな取り組みです。 過去から現在に至るまで、英語や日本語でのアイヌ関連の文献や議論の多くは、アイヌ以外の学者や専門家が独占してきました。しかし、これは変わりつつあります。 AinuToday はその一例です。鵜澤代表の先駆的な取り組みにより、 AinuToday はアイヌの学術的・芸術的作品を紹介する重要なプラットフォームとなるでしょう。 AinuToday は、単なる学術的な考察ではなく、アイヌの人々にとって重要な問題に具体的な影響を与えるような取り組みにおいて、アイヌの人々と提携する大きな可能性を提供します。私の知る限り、これは、博物館の展示以外で、アイヌの学者や職人の作品を国際的に紹介することを目的とした日本国外でのアイヌ主導の最初の取り組みの一つである可能性があります。

私は鵜澤代表の存在や今までの彼女の業績については 何年も前から知っていましたが、 マーク・ワトソン博士が私たちを正式に紹介して下さってから、共通の関心事やアイデアについて話し合うようになりました。私は、鵜澤代表および発展を続ける Ainu Today のチームと共に、理解、尊敬、包摂性、そして生涯にわたるパートナーシップに満ちた未来の推進に取り組むことを待ち望んでいます。

MICHAEL J. IOANNIDES - 寄稿者

マイケル J. イオアンニデス (オレゴン州立大学で修士号、カリフォルニア大学サンタバーバラ校で修士号を取得)は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校 人類学部の博士課程4年生です。彼は10年以上にわたり、アイヌの人々の現代政治運動を勉強しています。シカゴ大学での学士論文(2010年)では、現代のアイヌのアイデンティティについて文化的能力と真正さの観点から論じ、オレゴン州立大学の修士論文(2017年)では、沙流川総合開発事業プロジェクト(二風谷ダムと平取ダムを含む)とそのアイヌ住民への影響を調査し、批判しました。博士論文プロジェクトでマイケルはアイヌモシリで民族誌的フィールドワークを実施し、アイヌの環境回復活動家とともに働き、生活することを希望しています。これは、彼らの活動が、日本政府の「土建国家」型地域開発パラダイムや、アイヌモシリで進行中の入植者による植民地主義的収奪にどのように挑戦を投げかけるかについて学ぶことを目的としています。彼は、コミュニティのニーズや要望に敏感な非搾取・非収奪型の学問を共同で生み出す手段としての先住民族の方法論にコミットすることから来る責任と関係性の倫理観に基づいて、民族誌的な活動を行っています。 

博士論文の共同指導教員であるann-elise lewallen教授の授業で鵜澤代表の著作に初めて接した後、 2021年3月にブリティッシュ・コロンビア大学の日本研究センターで鵜澤代表の発表を聞き、自己紹介したことがきっかけで彼女と知り合いました。マイケルはAinuTodayに寄稿を頼まれ、大感激しました。このエキサイティングで重要なプロジェクトは、現代のアイヌの人々にとって最も重要な問題への門戸を英語の読者のために開くものです。また、アイヌの人々自身の声を高め、増幅させることで、英語の読者が、これまであまりにも疎外され無視されてきた視点に触れることができるようにすることも目指しています。マイケルは、アイヌ民族の正義のための戦いについて学び始めた10年前に、このような資料があればよかったと思っています。彼は、このような重要なプロジェクトに貢献できることを光栄に思っています。

María Victoria Díaz-González - ウェブサイト・デザイン

マリアは、ニューヨーク在住のジャーナリスト志望の女性です。彼女は、ニューヨーク地域におけるマイノリティの人々の問題や経験を中心に執筆活動を行っています。 
 
彼女は2016年の夏、大学生として北海道大学(日本)のメディア・コミュニケーション研究院でジェフリー・ゲーマン博士の下でインターンシップを行っている時に、鵜澤加那子代表と出会いました。そのインターンシップを通じて、彼女は鵜澤代表とその家族、そしてアイヌのコミュニティと多くの時間を過ごしました。鵜澤代表と一緒に過ごした時、彼女は、混血であり、移民であり、民族的に分断されている自分をありのまま受け入れ、自分らしくいることができるということを初めて実感したといいます。 
 
民族研究に没頭している彼女は、マイノリティの人々に関する研究では、差別、健康格差、経済的アクセスの欠如など、自分たちを苦しめるものに焦点が当てられることが多いことを知っています。 鵜澤代表は前向きであり、肯定的な面やアイヌのコミュニティが生き続けていくことに焦点を当てているので、マリアは彼女の取り組みに強い信頼を置いています。 
Nairne Brown's headshot. A young woman with black hair and round gold glasses.

NAIRNE BROWN - CONTRIBUTOR

Nairne Brown is a soon-to-be MSc graduate at the University of Oxford. She first developed an interest in Ainu language and culture during her undergraduate degree programme (MA Hons Japanese & Linguistics, University of Edinburgh) whilst undertaking a self-directed research project during the summer of her first year. Since then, she has gone on to complete her undergraduate dissertation on the topic Ainu and Kaurna: A Comparative Overview of Language Death and Revival, and in December 2024 published a paper entitled Ainu Language Death and Indications of Change in a Japanese-Dominant Environment in the student-led Michigan Journal of Asian Studies.

During her studies, Nairne first became aware of Dr. Kanako Uzawa’s work through her AinuToday blog, and would later meet her during her first term at the University of Oxford. Later, she would take a series of courses at the Hokkaido Summer Institute (Hokkaido University), where she would (under Dr. Uzawa’s instruction) come to engage with a wide range of topics surrounding Ainu culture, art, and land to a level which she had found little opportunity to do so before.

AinuToday has proven itself to be an invaluable resource to students worldwide who have limited access to resources and/or instruction on the topic of Ainu studies, particularly in the realm of English language literature. Nairne was overjoyed when the opportunity to join the AinuToday team arose, and she wishes to continue to build AinuToday’s platform as a means of amplifying Ainu voices and scholarship, and increasing the accessibility of アイヌプリという言葉 literature and art to current and future audiences.

MIA KIVEL - CONTRIBUTOR

Mia Kivel is a settler-scholar and Ph.D. Candidate in the Department of History of Art at the Ohio State University. Her forthcoming doctoral dissertation—tentatively titled “Against Colonial Aphasia: 21st-Century Art in Ainu Mosir” —centers on the work of contemporary Ainu artists and the myriad ways their work seeks to encourage reflection on issues pertaining to Indigenous rights that often go overlooked. For example, she argues that a wooden carving of a wolf might be read not just as an expression of a particular creative tradition, but also as one piece of an emerging discourse surrounding the Ainu right to stewardship over their ancestral homelands, as is promised by the United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples. She has also been responsible for developing curricula at the Ohio State University focusing on Indigenous art in Ainu Mosir and beyond, and has presented her research at conferences including the Association for Asian Studies and the East-West Center’s International Graduate Student Conference.

Mia began researching Ainu art in the completion of her MLitt dissertation at the University of Glasgow in 2021. This project, which focused on the political landscape surrounding the opening of Upopoy National Ainu Museum and Park, led her to encounter Dr. Kanako Uzawa’s research and performance practice, which has greatly informed her thinking about the way Ainu art is approached by non-Indigenous audiences. In the summer of 2025, she received research funding from her university to travel to Japan to take a course led by Dr. Uzawa at Hokkaido University. Working with Dr. Uzawa has left a significant impact on Mia’s perspective on her own research and responsibilities as a researcher, and she hopes to carry the lessons she learned with her through the completion of her Ph.D. and beyond.